大学院人間文化総合科学研究科 博士後期課程 自然科学専攻
概要・教育理念
自然科学専攻は数学、物理学、化学、生物学、環境科学の5つの研究分野から構成されています。これらは自然科学の基礎分野であり、複雑な自然現象をミクロからマクロまでの様々な階層の現象、多様な視点、手段を用いて原理的かつ総合的に理解することを目的として発達してきた学問分野です。
教育理念
自然科学専攻では、自然科学の基盤的学問である数学、物理学、化学、生物学、環境科学の高度な教育・研究を通して、高度な専門分野の知識を基盤に自ら考え行動できるとともに、日々発展している学際・融合的分野の開拓を進められる人材の育成を目指します。その実現のために、数学と物理学の教員が協力して教育・研究にあたる数物科学講座と化学・生物・環境科学の教員が協力して教育・研究にあたる化学生物環境学講座を設けています。
数物科学講座は、数学、物理学の視点から諸現象の理解を進め、その応用に向けた複合的なアプローチについて考えます。21世紀の高度情報化社会を支える科学技術の発展のために、新た・ネ課題を発見し、その課題を解決する能力を持った人材の養成を目指します。
化学生物環境学講座は、化学、生物学、環境科学の学問領域が連携した学術研究を遂行し、物質や生物およびそれらを取り巻く自然環境を総合的にとらえることができる広い視野と正しい倫理観、正確な論理的思考能力をもち、自ら立案した研究課題を独自の視点で解決することで先端的な学問体系の深化に寄与することのできる人材の育成を目指します。
求める学生像
- 自ら新たな問題を発掘し、それを基礎科学的観点から解決しようとする人
- 自然科学全般に興味を持ち、高度に専門的で実践的な学術研究において独創性の高い研究を志す人
- 人間と環境とのあり方を自然科学の手法に立脚して追求することを志す人
- 数学、物理学、化学、生物学、環境科学などの基礎科学の素養の上に立って複合的発展的発想を行う能力を育てることの出来る教育者を志す人
- 人間環境の調和を考慮した物質の合成並びに化学反応に深い知識と技術を持ち、高性能・高機能性材料の新素材の開発を目指す人
- 人間生活を取り巻く諸問題に対して、生命現象の理解に基づき健康・安全で快適かつ調和ある環境の構築を目指す人
- 生活物質・素材に関連する深い知識と技術の修得を目指す人
- 大学、独立行政法人研究機関、企業の研究所などにおける数学、物理学、化学、生物学、環境科学に関連した研究分野の教育研究および研究開発に従事できる中核的人材及び高度な複合科学的教育指導者を志す人
数物科学講座
本講座は,基礎科学的視点と応用科学的視点が深く関わる自然現象、あるいは人間と自然や社会が関わる新しいタイプの現象を対象として、諸現象の中に潜む法則や原理の発見、論理構造の解明、さらには未知の現象の予測など、数理的方法を用いた教育研究を行います。現代の高度情報社会を支えるべく科学技術が発展していくためには、新たな技術革新が不可欠と考えられます。そのためには諸現象の理解や応用への複合的なアプローチについて教育研究を行うことが必要となります。このような視点に基づき本講座では、数学、物理学が連携した高度、かつ最先端の教育・研究を通じて、基礎科学としての数学と物理学の高い水準の専門的知識と技能を備えるとともに、 広い視野と深い専門知識を基盤にして諸現象を理解し課題を解決する能力と、現代社会の中で活躍できる力を身につけた人材の育成を目指します。
化学生物環境学講座
本講座は、分子レベルで繰り広げられる反応・物性・機能性あるいは生体分子や遺伝子の振る舞いなどミクロな事象から、器官や生物個体とその集団などが示す生命現象、更にはその生命活動が展開されている地球環境の過去から現在への変化などグローバルな事象まで、時間的、空間的に幅広い階層をもつ自然界の事象を対象とした研究と教育を行います。化学コースでは分子を基盤とする新たな反応場や機能の開発、ミクロな世界での状態変化のダイナミクス、あるいは化学反応や合成による物質変換などについて理論・実験の両面から教育研究を行います。生物科学コースでは生体分子・細胞・組織・生物個体やその集団が示すさまざまな生物現象と、生物間や生物−非生物間の相互作用についての解明を目指した教育研究を行います。環境科学コースでは、人工衛星データなどを用いた全球レベルの地球環境変動と数理的手法を用いた生物集団の構造・進化と物理化学的環境との関わりに関する教育研究を行います。
3つのコースが連携して展開される教育研究により物質、生物、地球環境の調和の取れた発展へ向けて高度な知識を身につけ、社会に貢献できる人材を養成するのが本講座における目標です 。