1.「情報交流型FD」の考え方
<参加の呼びかけ>
「魅力ある大学院」イニシアティブ事業に関わる各専攻では、FD(Faculty Development)に積極的に取り組んでいます。
通常、FDは教員の教育・研究能力の向上を図る取り組みのことを指しますが、私たちは大学院修了後にはそれぞれが社会の指導的・教育的立場に立つことを踏まえ、学生もFD活動の対象であり、主体であると考えています。この立場から、専攻組織全体のパフォーマンス向上をめざす「情報交流型FD活動」を展開しており、下記のように取り組んでゆくつもりです。
<情報交流型FD>
大学院修了生への社会的ニーズの変化に即応した対応をするためには、さまざまな情報を組織的に収集し、それを各教員・学生が主体的に取捨選択して実行することが何よりも重要です。そこで本FDでは、教員のみならず学生自身も参画する形で、学内外から下に示すようなさまざまな情報収集を図ります。そしてこの過程を通じて多様なヒントやモデルを発見した上で、本学独自の教育モデルの構築をめざします。その際、教員は何を提供できるのか、学生は教員組織や指導教員に何を期待できるのか、に関する相互理解と緊張感ある構えを醸成し、さらに実践へとつなげることが課題となります。
<本FDにおけるポイント>
1)多面的なFD活動の展開
学生の教育・研究能力を多面的に捉え、(1)狭義の研究能力のみならず、(2)研究者・専門職として他者と交流する能力、(3)多様な助成・援助を獲得する技術と能力、(4)共同の活動を企画・組織する技術と能力、(5)リーダーとしての教育的・人間的指導能力なども養成することに資するためのFD活動をめざします。
2)組織的力量の伸長
複数指導制の意図する点を効果的に実現するため、同一あるいは関連分野の複数の教員が密接に協力する指導の態勢、および学生に学会や専門誌、研究会、講演会、インターンシップなどの情報を潤沢に供給する態勢を構築します。併せて、学内研究団体・組織および在学生・修了者のネットワークの活発化を図ります。
3)院生自身の活動との相乗効果の実現
情報交流型FD活動では、大学院学生も単なる指導の客体でなく、参加・企画する主体です。学生の多面的な能力が伸びることが同時に教員自身の個人的研究・教育の力量形成でもあるようなFD活動を行います。
<とりくみの内容:収集・伝達すべき情報>
a)チャンスとネットワーク情報
学会・研究会・講演会・インターンシップなど、さまざまな学外活動のチャンスとネットワークの状況、教員がどのようにサポートできるかなど。
b)社会的ニーズ調査
研究者・専門職に求められる企画・立案能力やコミュニケーション能力の内容など、時代に即応した社会的ニーズ情報の収集。
c)他組織所属学生との活動とパフォーマンス情報
他専攻・他機関の学生が、どのような研究・活動環境を得てどのように研究・学習活動を遂行し、どのような成果を得ているかなど。
d)研究・活動助成制度情報
学内外における研究・活動助成、科学研究費補助金やその他の研究助成制度の仕組みと機会、申請・応募方法とそのノウハウなど、院生自身が研究・活動環境を獲得するために必要な情報。
e)その他
学生の学内研究・活動環境の整備状況や、メンタルヘルス問題への対処方法など。
2.FD交流集会と研修視察旅行、その他の活動への参加・応募の呼びかけ
FD部会では、主に下記のような活動に取り組んでいるところです。ほとんどの企画・活動で、院生の積極的な参加を求めています。こうした機会を活用することで、世界が大きく広がることでしょう。
a)集会企画
関連各講座にお願いし、一昨年度は3回、昨年度は4回のそれぞれ性格を異にする研修企画を行いました。本学出身の研究者から研究や活動、就職都政かつに関わるさまざまなお話を聞いたり、他大学院の学生と交流してその状況を知るための、貴重な機会を提供できたと思います。
b)視察研修企画
公募によって、広く社会生活環境学専攻の教員・学生全体に、他大学大学院の視察・交流・研修の機会を提供しています。昨年度は、東京大学における英語による授業、愛媛大学の障害を持つ学生の支援活動、東北大学およびお茶の水大学大学院の研究・教育体制の視察が行われました。前2者は学生自身の企画によるものあり、その他でも学生が参加しています。
c)その他
これまで述べたような視点に立つFD活動について、ご提案やご意見、ご要望があればどうぞ各講座のFD部会員あるいは大学院教育推進支援室までご連絡ください。もちろん、正副の指導教員を通してお伝えいただいてもかまいません。
3.FD企画・研究交流企画 活動報告
平成17年度
平成18年度
平成19年度