奈良女子大学生活観光現代GP>学生による設計・発信>奈良市の元最高峰・国見山を登る
目的
2005年に都祁村が奈良市と合併するまでは、奈良市最高峰であった国見山。しかし一般的にはその事実と存在があまり知られていない。今回はその国見山を登り、そのあと奈良市田原地区(田原の里)を歩くことで当該地域の環境と観光資源について考える。
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まず国見山とは 奈良盆地東部の山地に位置する。標高は680mで生駒山の642mよりも高いが、国見山の名は2万5千分の1の地形図には記載されていない。前述したとおり、奈良市が都祁村と合併する以前は奈良市最高峰であった。県内には同名の山が多くある。 |
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奈良盆地周辺の山々
奈良盆地の周囲を囲む山地は昔から青垣山と呼ばれ、保護・整備をするために昭和45年から東部の丘陵線を大和青垣国定公園と指定している。公園内には北から白毫寺、石上神宮、大神神社など数多の古社・古寺や古墳が分布する歴史文化景観をなす。また先にあげた文化財類は同公園内を南北にはしる日本最古の道といわれている「山の辺の道」付近に多く分布する。
Q.では国見山は大和青垣国定公園に含まれるか?
一見、国見山は青垣のあたりにあるため公園の指定範囲に含まれるようにみえるが、よく見ると指定範囲よりもわずかに東に位置するため指定外である。(写真は平城宮跡の春日山方面の景色)
奈良県内の他のハイキングコースと比較
奈良県内の人気のハイキングコースと仮称・国見山周辺コース(田原の里含む)の違いに着目する。
◆県内人気ハイキングコースにある条件 |
◆仮称・国見山周辺コースにあてはめると |
(1) ハイキングコースのマップ提供 |
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近鉄電車・JRの駅にマップを設置 |
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上記の公式サイトでPRされる |
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ガイドブックで取り上げられる |
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奈良市観光協会や奈良県公式ホームページからマップは入手できる。しかし、左記の交通機関公式サイトからは紹介されていない。登山者以外の観光客には認知されにくい。 |
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(2) 景観・食・文化財 |
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多くの古社・古寺・古墳・史跡がその土地の自然と融合した歴史景観をコースのうりにする(特に大和青垣国定公園周辺にあるコース) |
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お茶屋や名物料理を提供する店がある |
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文化財やその地に関する資料館がある |
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史跡・見どころが分散して点在するので見てまわりにくい。史跡の由緒がはっきりとはわからない。 |
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景観のわりにアスファルトの道路が立派すぎる。 |
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国見山以外の場所で一息つくような休憩場所や座れるところが少ない。 |
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茶畑は冬でも緑が鮮やかで美しいが、田畑は農閑期には寂しい雰囲気がしたので多少季節を選ぶ。 |
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資料館という名のものはないが「田原やま里博物館」として住民が仕事場や生活の場を公開している(制約あり・要予約)。大和茶の工場や茶農家がお茶について教えてくれる。 |
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(3) 交通機関からのアクセスのしやすさ |
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主要ターミナル駅からのバスの連絡が良い |
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最寄駅に案内板や地図が置かれる |
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JR奈良駅・近鉄奈良駅からバスで行けるが便数が少ない(1時間に1本程度)。特に、帰りは極端に便数が少なくなる上、最終便は18:20と早い(平成20年2月8日現在)。 |
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考えられる国見山と田原の里をPRする手段
1. |
国見山が奈良盆地西部に位置する生駒山よりも標高が高いこと、山頂からの眺望が素晴らしいことを強調する。 |
2. |
田原の里が河瀬直美監督作品『殯の森』(2007年第60回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞)の撮影場所であることを知ってもらい、実際に足を運んで田原の里の良さを実感してもらう。 |
3. |
里山風景と特産の大和茶で「癒される場所である」ことを前面に出す。 |