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陸水域の生物多様性維持メカニズムに関する研究:
フィールドワークから見えてくるもの

【ならじょ Today34 号掲載】

片野 泉

片野先生

理学部 化学生物環境学科 生物科学コース

【研究テーマ】ライフサイエンス, 生態学、環境学, 底生動物,水生昆虫,トビケラ,河川生態系,食物網,被食捕食関係,環境?農学, 環境影響評価, 河川,ダム,ため池,環境DNA

―― カリキュラムについて教えてください
 私が所属している生物科学コースは、分子や細胞といったミクロな世界の研究、ミクロとマクロの中間に位置する個体についての研究、生態学というマクロな世界の研究と三つの分野に分かれています。それぞれの分野に、生物に対して様々なスケール感で研究を行っている先生方が揃っており、これは本学の生物科学コースの一つの特徴でもあります。ミクロかマクロのどちらか一方に研究対象が偏ってしまう大学も多い中、生物に対してこのように広いスケール感で研究に取り組むことができる大学院の修士課程は全国的に見ても珍しいと思います。
 そのため、自分の専門以外の分野についての授業も履修することが可能なカリキュラムになっており、最終的には専門的に取り組む分野を決定して、特定の分野についての研究を行いますが、自身の視野を広げるために他の分野の授業を受講することができます。勉強や研究の過程で、様々な視野を持つ先生方に相談できることは本コースの良いところだと思います。
 このように、本学の生物科学コースは、生物を様々な切り口から捉えることにより、生物の本来の姿を解き明かすことを目的としたコースになっています。

―― 生物科学コースの特色または魅力は何だと思われますか
 特色?魅力として、一点目は少数精鋭であることです。大学院の学生の人数に対して先生の人数が多いため、行き届いた教育を受けることができます。生物学は実験や分析、調査も多いですが、それぞれの場面で?一人ひとりに合わせたきめ細かな指導がなされています。本学の生物科学コースは先生一人に対して修士課程の学生が一学年で多くても三人程度です。学生はもちろん先生の研究においても、新しい発見があった時、その喜びを先生と学生とでリアルタイムに共有することができるところは魅力です。
  二点目は、意外と知られていないことですが、日本全国の大学院修士課程を修了する女子学生のうち、一割以上が本学の学生であるということです。本学は少数精鋭の教育体制でありながら毎年コンスタントに多くの修士課程の女子学生を輩出しています。レベルの高いきめ細かな教育を受けることができるため、毎年多くの学生が集まってきています。特に私の分野では、活躍している女性研究者の多くが本学出身者であり、年齢を問わず最前線で成果を残されているので、本学の凄みのようなものを感じる機会が多いです。全国にそれだけの数の先輩や仲間がいるということは、特に社会に出て以降はとても心強いことだと思います。女性は様々なライフイベントによって、仕事や専門とする分野を離れざるを得ない時もありますが、本学でのエッセンシャルな学びや、ロールモデルとなる様々な先輩の存在が、たとえライフイベントによる中断があったとしても再び社会に復帰して活躍できる女性を世に送り出すことに繋がっているのだと思います。このように、本学は女性の高等教育に対してよく貢献している大学であると言えます。

―― 片野先生の具体的な研究例をお聞かせください
 私は主に、近畿圏の河川やため池、ダム湖や湿地など「人の手が少し入った」淡水域を研究対象にしています。人の手が少し入った淡水域というのは,複数の生態系、例えば陸域と水域などが接するエコトーンであることが多く,このような場所は、生物だけでなく様々な物質が行き来します。そのため生物多様性維持のために重要な場であり、近年では特に着目されています。淡水域は生物多様性の低下が最も著しい生態系であり、将来に向けて生物多様性を維持するためには、環境と生物との相互作用、生物と生物との相互作用といった基礎的な研究はもちろんのこと、人間の淡水域への関わり方という応用的な側面からも研究を進める必要があります。そのため、生物学や生態学といった理学的なアプローチに加えて、理学の境界領域である工学や社会学のアプローチも合わせて行なっています。学生と一緒にフィールドに出て、様々な環境因子の測定を行ったり、水生昆虫をはじめとする様々な生物を採集したり、フィールドワークを頻繁に行なっています。フィールドワークは女子学生には体力的に大変な側面もあるかもしれませんが、学生は笑顔で楽しそうに調査しています。フィールドで採集してきた生物は、餌や環境を変化させた場合の反応を調べるため、飼育実験を行うこともあります。
 ここ10数年は、ダムによる河川生態系への影響と、様々な影響緩和策についての研究を行ってきました。日本の河川のほとんどにダムは存在します。ダムは人間社会にとってなくてはならない存在ですが、河川が本来もつ高い連続性や変動性という生態系の特徴を大きく改変してしまいます。例えば、ダムによってダム湖という新しい環境が河川の中に創出されると、河川には生息しなかったプランクトンが発生し、河川生物の餌環境は大きく変化します。食う食われる関係は生態系の根幹をなす重要な生物間相互作用であり、物質の流れも大きく変わります。ダム河川では様々な環境緩和策がとられていますが、生物と環境に関する基礎的なデータや、本流と支流の接続やダム湖周辺地域、河畔林など、ダム河川に存在する様々なエコトーンの役割の解明なしでは、効果的な緩和策にはならないと考えています。
 他にも、近年急速に発展しつつある環境DNAを実際の野外調査に適用可能にするための研究や、里地里山における放棄水田など、ポテンシャルは高いが消失しやすい小さな湿地域における保全的研究も進めています。このように私の研究室では、応用的な側面を意識しながら基礎的な研究を進めています。


―― どのような学生に進学してもらいたいと思いますか
 自分が学んだり研究したりする対象(生物)はもちろん、広くその周辺の分野に関して興味を持っている学生に進学してもらいたいです。例えば生物が生息している環境や、自然科学全般、自然を取り巻く人間社会などへの視線を忘れず、広く学ぼうとする学生に進学してほしいと思います。
 大学院での学びは、知識や経験のインプットであり創造であると思います。本学は純粋に学問に没頭できる環境であるため、存分にインプットは可能です。しかし、(私もそうでしたが)在学中はインプットだけで満足し、アウトプットについては気持ちが及ばない学生が多い気がしています。学んだことをどう生かしていくのか、将来の環境や社会のため、自分はどのようなことができる人間になりたいのか、在学中から心に留めておくことで、さらに大学院での学びは深まると考えています。
  自分の限界を決めずに新たな挑戦を続け、自分の殻を破ることのできる弾けた学生がもっと大学院に増えてほしいと思っています。

片野先生

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