平成28年度奈良女子大学卒業式並びに学位記授与式 学長式辞

    

 サハケレアネキヨヘ_タコヌアネキヨヨアイ・-。セ|フ衲|モホマキ。ソ174名、理学部184名、生活環境学部158名、合計516名の学部卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。名誉教授の先生、佐保会理事長、奈良佐保短期大学長、放送大学奈良学習センター所長、育友会会長にはご臨席を賜り誠にありがとうございます。奈良女子大学の教職員一同は、ご来賓の方々と共に、皆さん、本日ご同伴されましたご家族の方々、また各地で本日のご卒業をお喜びのご親族の方々に、心よりお祝いを申し上げます。
 ご卒業は、皆さんの人生において幾つかある節目の一つです。節目に当たって二つお願いがあります。
 まず、ご両親あるいは皆さんを支えてくれた方に「ありがとうございました、おかげで無事卒業することができました。」と感謝の言葉を伝えてください。この言葉は、経済的支援だけでなく、皆さんが無事でいて欲しいとの祈りの気持ちに対しての返礼になります。是非口に出して伝えてください。22年前の1月17日に阪神・淡路大震災が発生しました。ちょうど皆さんが生まれたころの大災害でした。無事であること、「つつがなし」は実は大変な事なのです。
  節目に当たってもう一つのお願いですが、自己分析を行ってください。4年間、編入学の皆さんは2年間ですが、成長しましたか。知識のことと、自立する力に分けて分析してください。知識は高校レベルとどれだけ違うかで判定できるでしょう。自立する力は、判定が難しいものです。私は皆さんが入学したときに、映画を見て感想を書いておくことをお願いしました。もう一度同じ映画を見て感想を書き、比較してください。皆さんの大学生活での成長を感じることができるでしょう。
 さて、ご卒業後はさらに大学院へ進学する方々と社会人になる方々がいるでしょう。社会人と学生との間には大きなギャップがあります。学生はお金を払う「お客さま」ですが、社会人はその活動でお金をいただく立場になります。そしてよりロングスパンでの人生設計も必要になります。「ワーク・ライフ・バランス」つまり、結婚・出産・育児と仕事とのバランスを考えなくてはいけません。近未来の日本は少子高齢化で大変なことになっています。2030年問題という言葉があります。内閣府は2030年展望と呼んでいるのですが、75歳以上の人口がピークを迎えます。皆さんが35歳の時です。労働力率のM字カーブの底が35歳ですので影響が大きいと思います。
 話は変わりますが、せっかく奈良とご縁があったのですから、是非学生時代の良き思い出を、生涯の宝物としてお持ちください。奈良の特徴は長い伝統です。修二会は1266回、一度も中断することなく継続しています。奈良での経験から、皆さんは10年、100年、1000年というマルチスパンで物事を考える力を得たと思います。皆さんは「多様なスパンで考える」ことで幸せを紡ぐことのできるリーダーの卵です。
 私たち教職員は、皆さんの成長が喜びです。尊敬と信頼に耐える社会人となれるよう自己を鍛錬してきた実力を、全国に持ち帰って思う存分発揮してください。
 最後になりますが、皆さんの輝かしい未来を祈念してお祝いの言葉といたします。

 平成29年3月24日 奈良女子大学長 今岡春樹