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生活健康学コース

健康的な生活環境と生活習慣の創造

コースの概要

生活健康学コースでは、主に生活環境や生活習慣が健康に与える影響について、衣食住、運動、休養、ストレスなど様々な視点から、生理学、人間工学、生化学、神経科学、薬理学、行動科学など様々な手法を用いて総合的に教育研究しています。これらを学び研究することで、健康に良い生活環境や生活習慣(ライフスタイル)が見えてくるでしょう。健康で充実した生活を送るための生活環境や生活習慣を創造できる人材を育成しています。

学べること

生活健康学コースでは、健康で、快適かつ安全な生活のあり方を考えるための基礎を学び、応用力を習得することを目指します。従来の衣食住に関する基礎的な事柄だけでなく、運動、休養、ストレス、生活環境などのように生活に関わる様々な現象を、生理学、栄養学、保健学、人間工学など、学際的な視野を持って学習します。人の身体の機能やその調節機構、人の身体に及ぼす生活環境の影響などについて学び、健康にするための生活改善など日常生活に関わる問題点を発見し、科学的?客観的視野に立って評価し、問題解決のための方策を立案?実行できる人材育成を目指します。
講義で各分野の基礎を、実験実習で科学的評価方法の基礎を学習し、卒業研究では、講義や実習で培った能力を発揮して、世界に発信できる研究に取り組みます。
多くの人たちに、健康で充実した生活を送るための生活環境や生活習慣を提案できる人材の育成を目指しています。

教員紹介

鷹股 亮教授

主な担当科目
【学部】人体生理学、女性健康論、行動神経内分泌学、栄養学実験
【大学院】環境生理論、環境生理論演習
研究内容
"女性ホルモンであるエストロゲンには抗肥満?摂食抑制作用、抗うつ作用があることが知られています。そのため、閉経後に肥満やうつ病の発症頻度が増加します。しかし、エストロゲン欠乏がどのようにして過食?肥満、うつのを惹き起こすのかその中枢メカニズムは十分に解明されていません。我々の最近の研究から、エストロゲンが不足すると、摂食行動の日内リズムが乱れ、これが過食?肥満やうつ様行動の原因になる可能性があることが明らかになってきました。また、女性は「甘いものが好き」と言われていますが、エストロゲンがエネルギーバランス調節と甘味に対する嗜好性に及ぼす影響の関係とその中枢メカニズムについても研究しています。
本研究室では、エストロゲンが、摂取行動に及ぼす影響の脳内メカニズムを明らかにすることにより、女性が年齢に応じて健康的な生活をするための生活習慣や生活環境の創造につなげたいと考えています。
主な業績
  1. Nishimura Y, Mabuchi K, Takano A, Hara Y, Negishi H, Morimoto K, Ueno T, Uchiyama S, Takamata A. S-equol exerts estradiol-like anorectic action with minimal stimulation of estrogen receptor-α in ovariectomized rats. Front Endocrinol. (Lausanne) 8: 281, 2017.
  2. Nishimura Y, Mabuchi K, Taguchi S, Ikeda S, Aida E, Negishi H, Takamata A. Involvement of orexin-A neurons but not melanin-concentrating hormone neurons in the short-term regulation of food intake in rats. J Physiol Sci. 64: 203-11, 2014.
  3. Takamata A, Torii K, Miyake K, Morimoto K. Chronic oestrogen replacement in ovariectomized rats attenuates food intake and augments c-Fos expression in the suprachiasmatic nucleus specifically during the light phase. British Journal of Nutrition. 106, 1283-1289, 2011.

横山 ちひろ教授

主な担当科目
【学部】人間行動生理学(旧:生活保健学)、生活内科学、ストレスの科学実習
【大学院】心身医学特論、生活医学演習
研究内容
他者とのかかわりにおける行動パターン「社会性」は人により様々です。「社会性」は人々の身近な人間関係に影響を与え、健康的な生活に深く関わります。私たちは「社会性」を生物学的に理解し、コントロールできるでしょうか?本研究室では、霊長類動物の利他行動や視線感受性、パーソナリティ評価など「社会性」の客観的評価を行い、脳画像計測から関連する脳内分子?脳構造?神経回路を探索しています。さらにこれらをヒトの心理生理計測と脳画像との関連を比較することで、社会性の進化を脳機構から考察し、ヒトの心の多様性や精神疾患の生物学的理解につなげたいと考えています。
主な業績
  1. Yokoyama C, Autio JA, Ikeda T, Sallet J, Mars RB, Van Essen DC, Glasser MF, Sadato N, Hayashi T. Comparative connectomics of the primate social brain. NeuroImage 2021. 245 118693.
  2. Weiss A, Yokoyama C, Hayashi T, Inoue-Murayama M. Personality, subjective well-being, and the serotonin 1a receptor gene in common marmosets (Callithrix jacchus). PloS one 2021. 16(8) e0238663.
  3. Kato M, Yokoyama C, Kawasaki A, Takeda C, Koike T, Onoe H, Iriki A. Individual identity and affective valence in marmoset calls: in vivo brain imaging with vocal sound playback. Animal Cognition 2018. 21 331-343.

吉本 光佐教授

主な担当科目
【学部】食健康論、食環境論、生活健康学基礎実験
【大学院】食と自律神経学特論、 食と自律神経学演習
研究内容
自律神経は中枢神経と末梢臓器を結ぶ情報伝達路で、交感神経と副交感神経からなります。交感神経は、動脈圧の変化を調節している1つの因子です。動脈圧は、運動?睡眠?飲食時などの日常生活時に、交感神経の調節を受けてある一定値を保ちながら常に変動しています。そのため、高血圧といった生活習慣病に至る過程で、交感神経活動がどのように変化して循環機能調節に影響を及ぼしているかについて研究しています。また、恐怖や不安を感じるストレス時に交感神経活動がどのように変化して循環機能調節に影響を及ぼしているのかについても研究しています。「こころ」と「からだ」を結ぶ交感神経を軸に循環動態がどう維持されあるいは破綻するかを実験的に検討しています。
主な業績
  1. Pearson JT, Yoshimoto M, Chen YC, Sultani R, Edgley AJ, Nakaoka H, Nisida M, Umetani K, Waddingham MT, Jin HL, Zhang Y, Kelly DJ, Schwenke DO, Inagaki T, Tsuchimochi H, Yamashita S, and Shirai M. Widespread Coronary Dysfunction in the Absence of HDL Receptor SR-B1 in an Ischemic Cardiomyopathy Mouse Model. Scientific Reports, 7(1), 2017
  2. Wehrwein EA, Yoshimoto M, Guzuman P, Shah A, Kreulen DL. and Osborn JW. Role of cardiac sympathetic nerves in blood pressure regulation. Auton Neutosci, 183:30-5, 2014.
  3. Miki K and Yoshimoto M. Shifts in the baroreflex control of sympathetic nerve activity induced by exercise. J Phys Fitness Sports Med, 2(3):319-324, 2013

原田 雅史准教授

主な担当科目
【学部】衣環境管理学、生活界面化学、衣環境学実験、衣環境学概論
【大学院】アパレル洗浄論、アパレル洗浄論演習、衣環境管理論、衣環境管理論演習、衣環境科学論、衣環境科学演習
研究内容
健康で快適かつ安全な生活のあり方を、環境科学、分析化学の原理や技術をもとに、衣環境学に関連する先端技術やデータ解析について研究し、創造性豊かな研究能力や衣服を企画設計できる能力を発揮できるための研究教育を行っています。環境調和型の機能性材料の開拓を行い、次世代のエネルギー変換や貯蔵に繋がる新規の電子磁性材料、光機能材料、燃料電池等の電極触媒材料などについて研究します。例えば、高分子や界面活性剤溶液に分散安定化された機能性ナノ粒子の合成を試み、溶液中でのナノ粒子の構造や構造形成のメカニズムについて解明し、新規機能性材料の合成指針の探索をしています。また、グリーンな反応溶媒として注目されている超臨界流体やイオン液体を利用し、これら媒体中で界面活性剤の形成するミセルやエマルションをナノ粒子形成の反応場として用い、さまざまな機能性ナノ粒子の合成し、ナノ粒子形成時のミセルやエマルションの構造変化について様々な分光法を利用して原子レベルでの構造解析を行っています。
主な業績
  1. M. Harada, F. Kotegawa, and M. Kuwa“Structural Changes of Spinel MCo2O4 (M = Mn, Fe, Co, Ni, and Zn) Electrocatalysts during the Oxygen Evolution Reaction Investigated by In Situ X-ray Absorption Spectroscopy.”ACS Appl. Energy Mater., Vol. 5, pp. 278-294 (2022).
  2. M. Harada, M. Yamamoto, and H. Iwase“Combined Small-Angle Neutron Scattering/Small-Angle X-ray Scattering Analysis for the Characterizaton of Silver Nanoparticles Prepared via Photoreduction in Water-in-Oil Microemulsions.”Langmuir, Vol. 37, pp. 13085-13098 (2021).
  3. M. Harada, M. Yamamoto, and M. Sakata“Temperature dependence on the size control of palladium nanoparticles by chemical reduction in nonionic surfactants/ionic liquids hybrid systems.”J. Mol. Liq., Vol. 311, pp. 113255 (2020).

高浪 景子准教授

主な担当科目
【学部】脳機能形態学、被服生理学、人体生理学実習
【大学院】行動神経科学、行動神経科学演習
研究内容
痛みや痒みや触覚などの知覚は生体の警告信号として、私たちの生活や生命維持に必要ですが、この知覚の感受性は絶対的なものではなく、環境要因、社会的要因、遺伝的要因により、その感受性に大きな個人差が生まれます。たとえば精神的ストレスが慢性掻痒(アトピー性皮膚炎、ドライスキン等)や慢性疼痛を悪化させ、さらにこの症状の悪化がストレスとなり精神的抑うつを導き、心身の悪循環を引き起こします。反対に、嬉しいできごとや心地よい触覚(スキンシップ)により、痛みが和らぐことがあります。このような「こころ(脳)」と「からだ(痒みや痛みの症状)」を結ぶ神経基盤を明らかにして、心身ともに健やかな生活を送ることができるよう、研究を通して検討しています。
主な業績
  1. K Takanami*, M Kuroiwa, R Ishikawa, Y Imai, A Oishi, M Hashino, Y Shimoda, H Sakamoto, T Koide. Function of gastrin-releasing peptide receptors in ocular itch transmission in the mouse trigeminal sensory system. Frontiers in Molecular Neuroscience, 16, 1280024 (2023)
  2. K Takanami*, T Oti, Y Kobayashi, K Hasegawa, T Ito, N Tsutsui, Y Ueda, E Carstens, T Sakamoto, H Sakamoto. Characterization of the expression of gastrin‐releasing peptide and its receptor in the trigeminal and spinal somatosensory systems of Japanese macaque monkeys: Insight into humans. Journal of Comparative Neurology, 530, 2804-2819 (2022)
  3. K Takanami*, D Uta, K-I Matsuda, M Kawata, E Carstens, T Sakamoto, H Sakamoto. Estrogens influence female itch sensitivity via the spinal gastrin-releasing peptide receptor neurons. Proceedings of the National Academy of Sciences, 118, e2103536118 (2021)

西牧 未央助教

主な担当科目
【学部】食環境論
【大学院】食健康管理学、食健康管理学演習
研究内容
レスリングや柔道などの体重階級制競技アスリートの多くは、試合前の計量に向けた極度の食事や飲水制限などにより、7日以内に体重の5%以上の体重を減らす“急速減量”を男女ともに習慣的に行っている。これまでヒトを対象とした研究により、急速減量が骨格筋量や内分泌応答に及ぼす影響について報告されているが、各臓器におけるタンパク質代謝の挙動については十分に明らかにされていない。さらにほとんどが男性アスリートや雄の実験動物を対象とした研究であり、女性アスリートを対象とした研究が行われていないのが現状であ る。そのため、雌ラットを用いた動物実験により、女性アスリートの急速減量が骨格筋におけるタンパク質代謝応答に及ぼす分子メカニズムを明らかにしていく。
主な業績
  1. M Nishimaki, E Kondo, C Teo, K Nakajima, D Yamashita. Prevalence, methods of rapid weight loss amongst elite Japanese wrestlers:a questionnaire-based study of the 2016 Japanese Wrestling Championship.Journal of High Performance Sport, 6,12-27 (2020)
  2. M Nishimaki, H Tabata, M Konishi, S Pettersson, S Sakamoto. Effects of different periods of rapid weight loss on dehydration and oxidative stress. Archives of Budo,14, 319-327 (2018)
  3. M Nishimaki, S Sakamoto.Effect of obesity-related gene polymorphisms on weight loss of female wrestlers. Archives of Budo,14, 117-123 (2018)

鍵本 明里助教

主な担当科目
【学部】環境人間工学
【大学院】生活光環境学、生活光環境学演習
研究内容
日常生活を送るうえで必須な「光」ですが、私たちはこの光からさまざまな情報を得ています。日中と夜間では物の見え方が大きく異なるように、光の種類が異なると、明るさや色、物体の質感などの視覚的な側面のほか、快適さやストレスなどの心理的な側面にも影響を及ぼします。また、年齢などの要因によって物の見え方は変化します。このような、ヒトの眼光学特性に着目しながら光の性質の違いがもたらす「見え方」や「感じ方」の違いについて、実験的に検討を行うことで、視覚メカニズムの解明や、生活の質を高める光環境について検討しています。
主な業績
  1. A. Kagimoto & K. Okajima, Perfect appearance match between self-luminous and surface colors can be performed with isomeric spectra, Scientific Reports 10, #18350 (2020).
  2. A. Kagimoto, S. Okuda, M. Tatsumoto, K. Okajima & K. Hirata, Preferable illuminance under LED lighting for migraineurs aiming to relax, Proceedings of 19th Triennial Congress of the IEA, #504, 1-5 (2015).

久保 博子教授

主な担当科目
環境人間工学、高齢者生活環境論、環境人間工学実習
研究内容
生活に密着した視点で、 健康で快適な生活を創造するための様々な環境条件について、 住環境学、建築環境工学、人間工学的な手法を用いて実験や実測調査により研究しています。 生活の中には興味深いテーマがたくさんありますが、中でも、「睡眠と環境」「暑さ寒さと生活」「高齢者の生活環境」の3テーマが中心です。「睡眠と環境」では健康で快適な睡眠が得られるための温熱環境や寝具?寝衣はどの様なものなのか、日常睡眠と生活活動の関連はどうかを、「暑さ寒さと生活」では、省エネルギーや快適性、個人差や年齢差、冷暖房方式や設備、住居や建物性能、生活行為などの視点から人は暑さ寒さをどの様に感じながら生活し、どの様な環境が健康で快適なのかについて、「高齢者の生活環境」ではユニバーサルデザインの観点から、生体機能の低下した高齢者の生活行動に適した睡眠環境や温熱環境を検討しています。
主な業績
  1. Yasuoka, A., Kubo, H., Tsuzuki, K., Isoda, N. , Individual differences in thermal comfort and the responses to skin cooling in young women、Journal of Thermal Biology、37/ 1, 65-71,2012
  2. 佐々尚美、久保博子、磯田憲生「高齢者の選択気温と設定気温下の人体反応特性」日本建築学会環境系論文集、77/ 676, 475-479、2012
  3. 久保博子「建築環境と居住者の生理?心理 : (6)温熱環境と居住者の生理心理」、空気調和?衛生工学、85/ 3, 209-217、2011

芝﨑 学教授

主な担当科目
【学部】環境生理学、被服生理学、人体生理学実習
【大学院】生体機能調節論、生体機能調節論演習
研究内容
天気や季節によって暑さや寒さを感じます。温度変化に対して快適性を保つために着衣量を変えたり、日向や木陰に移動したりします。このような意識的な行動だけでなく、無意識的に暑い時は汗をかいたり、寒い時はふるえたりします。このように寒暖の変化に対し、行動性(意識的)および自律性(無意識的)に身体内部の温度を一定に調節(体温調節)します。体内外の温度変化は他の身体の調節機能にも影響します。例えば、暑い時にふらついたり、ボーっとしたり、息が上がりやすかったりします。発症メカニズム(なぜそうなるのか)を実験的に検討し、主要因や関連要因を追求し、どうしたら対処できるのかを提案しようとしています。
主な業績
  1. Shibasaki M and Davis SL. Human Perspiration and Cutaneous Circulation. In Fluid Balance, Hydration, and Athletic Performance, eds., Meyer F, Szygula Z, Boguslaw W, CRC Press, Taylor & Francis Group. (2016) Sec I, chapt 3, 33-58. 
  2. Shibasaki M, Namba, M, Oshiro M, Kakigi R, and Nakata H. Suppression of cognitive function in hyperthermia; From the viewpoint of executive and inhibitive cognitive processing. Scientific Reports. (2017) 7:43528.
  3. Shibasaki M, Umemoto Y, Kinoshita T, Kouda K, Ito T, Nakamura T, Crandall CG, Tajima F. The role of cardiac sympathetic innervation and skin thermoreceptors on cardiac responses during heat stress. Am J Physiol Heart Circ Physiol. (2015) 308 (11): H1336-H1342.