本学から東北、約5−10分のところに位置する東大寺。講演ではまずピーター・ドラッガーの「非営利組織の経営」より、「いまも機能している最古の非営利機関は、日本にある。奈良の古寺がそれである。・・」を引用され、聖武天皇「盧舎那仏造顕の詔」から話を始められました。【動植ことごとく栄むとす】は、その根幹でありどうぞこれだけは覚えていてくださいと念をおされます。正倉院に残る大仏開眼の儀式に使われた筆と対で保存されている紐(はなだのる)は、僧侶の持つ筆が紐を介して多くの人につながって行われたことを語っていますと説明されました。このことは、後半の自身も幾たびも参籠されている修二会で、戦国時代からの僧の名前が連なっている「牛玉誓紙」の最後に自分の名前を書き加えられたというお話のときにふっと、そのつながりを感じました。大仏再建に尽力された高僧の方の名前をその紙に、父の名前も後ろのほうに見つけ、そしてそこに自分も記す、これが『歴史を紡ぐ』ことかもしれません。用意いただいたパワーポイントも非常に見やすく、そして修二会で使う実際のものもたくさん持参いただき、今回の講演のために多くの時間を割いてくださったと有り難く思いました。
|